日本家屋ほど、神秘的なものはない。
人は、生きているときから、死してのちもまた、
今でもずっと日本家屋に住んでいる。
方丈(ほうじょう)…一間半四方ほどの、小さな部屋。
武家屋敷
農家の茅葺
古くから伝わっていることわざもまた、
その多くが、魂や心(人の意識における真実の世界)と、
現実との深いかかわりを、適切に表現している。
「敷居をまたがせない」とか、よく昔の人はそのように、
ことわざを、状況に応じて、使っていただろう。
人間の魂や心がまだ未熟な者であれば、自分の屋敷の敷居を、
越えることができない状態であったりする。
敷居をまたいで、やっと土間に寝泊まりできる者。
板の間まで上がってやっと食事をできる者、
座敷の奥へ通され、さらに床の間の部屋から、
仏壇の阿弥陀へと合一してゆくことを許された者。
そこまで行けは、神棚の中の神の世界の存在を、
「かすかに感じる」ことができるかもしれない。
そして「鴨居(かもい)」が、天空の神々の座であり、
そこから、神々が人々の暮らしを静かに見守っていることを知る。
鴨居は、神と人の暮らしとを分かつ、聖なる結界であることを知るだろう。
虹の輪の向こうに広がる、蒼天の神々の座を。
鴨居も、カムイも、天上へのクムランもまた、
人の世界は、神の目から見たら、
何の違いもないことを。
雲雀(うんじゃく)