沈丁花の花が咲きはじめました。
可憐な花も
私は、去年までは春が、一年のうちで最も好きな季節でした。
でも今は、秋が好きです。
千年前の和歌の中で、多くの人が、春よりも秋が好きと詠んでいたこと、
以前はその気持ちが、良くわからなかったのですが、
今は、わかるような気がするのです。
春は多くの木が花を咲かせて、美しくにぎわうけれど、
自然界には、まだ小鳥たちの食べ物がとても少なくて、
風のある日や寒い日は、えさを探すのに難儀をしていないかと、
小鳥のことが心配になります。
秋になれば、彼らの食べものも豊かにあるので、
安心して一緒に散歩に出ることができます。
なので私も、秋のほうがいい。
しみじみと、そう思うのです。
自分のために好きだった季節と、
自然の生きものを思うがゆえに、好きな季節、
そのような心の変化をしたとき、
年を重ねて生きてゆくことの感慨深さをいたく知ります。
「好き」の深さが、こんなにも、こんなにも
違うものなのだと。